トラックは国内貨物の9割を担う輸送の要です。物流業界の市場規模はなんと24兆円!今や15万人が従事している一大産業であり、私たちの暮らしに欠かせない存在です。
中でも、愛知県は日本のモノづくりの中心、トヨタ自動車をはじめとした自動車関連産業、航空宇宙産業、セラミックス、鉄鋼・特殊鋼産業が栄え、名古屋港の貿易額は全国2位。三河港は11位。農林水産業も栄えており、東三河を中心に盛ん。畜産や水産業も有名です。
こうした愛知県の工業や農林水産業を営む企業や団体と、消費者の皆さんの暮らしを支え、太いパイプでつなげているのが、トラック輸送の役割なんです。
平成30年度
輸送機関別分担率(トンベース)国内貨物輸送量
国内貨物の総量(重さ)を一つの円グラフで表現し、それぞれの輸送機関がどの程度運んでいるのかを示した図です。グラフにあるとおり、国内貨物の9割をトラックが運んでおり、残りの1割を海運(船)・鉄道・航空がそれぞれ運んでいます。
平成31年度末の国土交通省の統計によると、全国に62,068社、そのうち愛知には3,000社の事業者がいます。
平成31年度末の国土交通省の統計によると、事業用トラックは全国に1,402,185台、愛知には89,564台もあります。
日本の運送会社は、全体の90%以上が中小企業です。保有車両数が100台を超えるような大きな会社は全体の2%しかありません。皆さんがテレビCMで見かけるような大企業や、宅配便や引越で有名な会社もこの2%に含まれています。
それだけお客さんである荷主さんの輸送ニーズも細分化しており、荷主さんと一言で言っても、大企業から個人商店まで多種多様なんです。
消費者の皆さんが名前を知らない多くの運送会社も、大企業と同じように暮らしや産業を陰で支えているということを忘れないでくださいね。
車についているナンバープレートを見て下さい。軽バンであれば黄色いナンバープレートがついていませんか?黄色いナンバープレートは自家用として使う軽自動車ですから、運送会社のような有償運送行為(人や他人の荷物を運んでお金をもらうこと)を行うことは法律で禁止され、違反した場合は厳しい罰則があります。
このナンバープレートには以下の4種類があり、それぞれ役割が決まっています。
トラック・乗用車・バス・タクシー等のうち、有償で人や荷物を運んでいる車
個人や企業が自己所有している車(レンタカーも含む)
有償で荷物を運んでいる軽自動車(人は運べません)
個人や企業が自己所有している軽自動車(レンタカーも含む)
愛知県の車両の地名表記には「名古屋、豊橋、三河、岡崎、豊田、尾張小牧、一宮、春日井」があります。 上記の画像では該当部分が消してありますが、地名表記の右側の「分類番号」と「ひらがな」は車種や用途によって区分されています。 たとえば、緑ナンバーのトラック運送業の場合、分類番号は「1、10〜19、100〜199」「4、6、40〜49、60〜69、400〜499、600〜699」、ひらがなは「あいうえかきくけこを」と定められています。
上記のとおり、緑ナンバーと黒ナンバーを一般的に運送事業者と呼びます。
緑ナンバー・・・・ | 貨物自動車運送事業(営業用トラック) 貨物自動車運送事業(営業用トラック) |
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黒ナンバー・・・・ | 軽貨物運送事業(営業用軽貨物) |
今度、街を走っている車のナンバープレートを注意深く見て下さい。すぐに「あ!あれが営業用トラックだな」だと分かると思います。
平成30年度に日本国内で新規登録された(営業用・自家用を合わせた)トラック車両数は約765万両あります。
このうち、緑ナンバーの営業用トラックはおよそ146万両となっており、約2割を占めています。
一方、営業用トラックがどれくらい貨物輸送に貢献しているかを見ていくと、トラック輸送量全体の69.6%を占めています。
つまり、トラック全体に占める割合はわずか2割しかない営業用が、貨物全体の7割を運んでいるわけで、少ない台数で多くの仕事をこなしているのです。
全日本トラック協会の調べでは、稼働効率の指標である「実働1日1車当たり輸送トンキロ」でみると、営業用トラックは自家用トラックのおよそ9倍で、とても輸送効率に優れているのです。
少ない台数で仕事ができれば、その分だけ少ない燃料使用となり、排気ガスも減り、環境負荷が低減されますよね。
また、輸送のプロである営業用トラックの世界では、日進月歩で生産性も向上しており、荷物を如何に効率よく積めるかという積載率向上等の観点からも、自家用から営業用への転換が進んでいます。
トラックにだって、もちろん「運賃料金」の基準は存在します。
そもそも、通信販売で目にする「送料無料」とは、物流コストがタダだというわけでは決してありません。一般的には物流コストは皆さんが購入する商品の価格に含められています。ただ、色々な販売サービスが発展する中で、より多くの消費者の方に自社の商品やサービスを選んでもらえるように、販売している会社が送料を負担して「一定数以上お買い上げの場合は送料無料!」とか「送料当社負担!」などと表現しているのです。
トラック運送業界でも、この「送料無料」という表記が、あたかも物流コストはタダであるとの誤った認識の基になっているのではないか?修正するべきではないか?との意見があがっています。
さて、本題に戻って、運賃料金については、つい最近、大きな改正があったんです。
かつて、トラック運送業界への新規参入は国が与える「免許制」であり、トラックの運賃料金は国の「認可制」となっていました。しかも、「営業区域」と呼ばれる商売を行っても良いエリアが決められていました。(中部なら中部、東北なら東北の中だけ)
このため、新規参入するには事業免許がなければならず、この免許も急激にエリアごとの運送事業者が増えないよう調整されていたため、なかなか新規参入は簡単ではありません。
ところが、平成元年~平成2年、自由な経済活動を促進するため、国が大きく規制を緩和し、業界への新規参入は「許可制」、運賃料金は「届出制」に変わりました。そして、「営業区域」も順次拡大されて、平成15年には廃止されました。
この結果、新規参入しやすくなり、各事業者が自由な運賃を定めることができ、全国どこでも好きなところで営業できることになったのです。
こうして運送会社が増え、お互いが競争することで運賃料金が安くなります。その結果、荷主さんのコストも削減され、更には荷主さんから私たち消費者が買う商品やサービスは安くなってみんな幸せ!・・・となれば良かったのですが、そんな簡単な話ではありませんでした。
規制緩和の効果が強すぎて過当競争(ダンピング)があちこちで起こり、トラック運送事業者が経営を維持する上で本来必要なコスト(たとえば、人件費・燃料費・修理費・車両購入費など)が適正に受け取れなくなってしまったのです。
おりしも、それ以降、90年代の日本は「バブル崩壊」を経て、急激に不景気になります。物の値段がどんどん安くなるデフレという言葉、聞いたことがありますよね?安いことは良いことですが、必ず誰かがそのコストを負担しているのです・・・。
更に追い打ちをかけるのが燃料価格の上昇。平成20年にはガソリン価格が脅威の185円!まで上昇し、トラックの燃料となる軽油も150円を超える状態になってしまいました。
少子高齢化の中で新しい人を採用するにも、安全対策にハイテク機器を買うのも、古い車を入れ替えるにも、燃料を買うのも、高速道路を通行するのにだってお金はかかります。日夜働くドライバーさんのお給料だって増やしたい。
でも、中小企業が多い運送事業者は荷主さんに対する立場も弱く、個別の値上げ交渉もなかなか簡単ではありません。
そこで国は平成30年、『働き方改革の実現を図るにはトラックドライバーの労働条件を改善することが最優先だ!』として、法律を改正し、いよいよ令和2年4月から、新しい運賃制度がスタートしたのです。
標準的運賃について(愛知県トラック協会WEB)
貨物自動車運送事業法の改正(国土交通省WEB)
「トラック運送業者が適正な運賃や料金を受け取ることで、初めて国民生活に不可欠な物流サービスを維持することができる」ということを皆様もどうぞご理解下さい。
街で見かける様々なトラック。非常にバリエーションに富んでいますが、それぞれの形には全部意味があるのです。
ここでは主要なトラックについて説明していきます。
荷台がフラット(平ら)になっているトラックです。
荷台がアルミ製の箱型のトラックです。屋根があるので風雨に強く、積んでいる荷物を保護することができます。
バンボディの中でも、両側がスーパーカーのドアのようにパカッと開くトラックです。荷物の積卸しがしやすく、広く普及しています。
荷台に冷凍・冷蔵装置が付いたトラックです。冷凍食品や生鮮食品を新鮮なまま運ぶことができます。コンビニ等で見かけます。
荷台部分が持ち上がり、土や砂利などをすべり降ろせる構造のトラックです。建設現場等でよく目にするかと思います。
石油や化学薬品などの液体を運ぶトラックです。ガソリンスタンド等でよく見かけます。タンクの中は水槽を縦に並べたように細かく分かれており、発進停止する際の衝撃が緩和されます。荷台の形が楕円形をしているのも、重心を低くするためです。
小麦粉や肥料、砂糖などの粉粒体を運ぶトラックです。粉粒体を降ろすときは空気の圧力を使って、ホースから出します。
生コンクリートを運ぶ車です。荷台を回転させて生コンクリートを固まらないようにすることができます。
ゴミを回収する車です。たくさんつめるように圧力をかけて潰しながら、ゴミを積んでいきます。
荷台が大きいトレーラは単体のトラックでは運べない大きな荷物や、よりたくさんの荷物を一度に運ぶことのできる車です。トラクタ1台で複数のトレーラや異なる形状のトレーラとのセットが可能なため、輸送効率を高めることが可能です。
出典/トラック早わかり
https://www.jta.or.jp/coho/hayawakari/index.html
公益社団法人全日本トラック協会より
まだまだトラックの種類はこれだけではありません。更に詳しい情報はこちらをクリックしてね!
トラック早わかり~トラックのことを分かりやすくご説明します~(全日本トラック協会WEB)
コンプライアンス(法令順守)という言葉が使われて久しいですが、トラック運送業界でもコンプライアンスはとても重要です。トラック運送業界には数えきれないくらい多くのルールがあるんです。
その代表格が「貨物自動車運送事業法」という法律で、いわば業界にとって「憲法」みたいな存在。この法律と関連する色々な法令によって、安全で安心な輸送サービスを実現するために様々な規制が設けられています。
・・・など、ここに挙げた事例はまだまだほんの一部に過ぎません。
これ以外にも数多くの規制がトラック運送業界には存在しており、それぞれに厳しい罰則も存在しています。そのため、経営者や管理者、もちろんドライバーの皆さんもコンプライアンス遵守のため日々勉強しスキルアップしているんです。
更なる詳細は「安全環境カテゴリ」をチェックしてみて下さい。
このような多くの規制を守りながらトラックは日々走っており、そのおかげで安全で安心な輸送サービスが維持できるのです。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たちの日常生活においても感染症リスクが懸念されている中でも、トラックドライバーはエッセンシャルワーカーとして、国民生活や経済活動を支えています。
業界団体である全日本トラック協会では、最前線で活躍するトラックドライバーやそのご家族の健康と生命を守るため、『トラックにおける感染予防ガイドライン』や『新型コロナウイルス感染予防対策マニュアル』を制作して、感染症対策に努めています。
また、マニュアルを用いて具体的な予防方法を解説するオンラインセミナーの開催や、全営業所への非接触型体温計の配布等も行っており、事業者さんも各々創意工夫しながら、感染予防に取り組んでいるのです。
ところで、感染症防止にはソーシャルディスタンスとマスク着用が必須ですが、夏季は同時に熱中症予防にも注意しなければなりません。このため、国やトラック協会は、気温の上昇する夏場に、ドライバーさんが一人で運転しているときや、屋外で他の人と十分な距離を取りながら荷物の積み降ろしをしているときには、マスクを外すなどするよう呼びかけています。皆様もご理解ご協力下さい。
また、本当に残念なことですが、新型コロナウイルス感染症を巡っては、トラックドライバーの皆さんに対して、配達先等で心ない暴言や対応があったという報道もありました。
トラック運送業界も他の業種と同様に厳しい状況を迎えてはいますが、こうしたコロナ禍においても国民の生活と経済を守るため、トラック運送業界は責任感と使命感を持って「エッセンシャル事業」として日々業務に励んでいます。
新しい生活様式によりステイホームが求められるようになっても、いつも通り荷物が届くのは、新型コロナ感染症の恐怖にさらされながらも荷物を運んでくれるトラックドライバーのおかげだということをどうかご理解下さい。
最前線へエールを。いま、トラックドライバーにできること(愛ト協WEB)
新型コロナウイルス感染予防対策マニュアル(愛ト協WEB)
運送業界で働くにも職種によっては色々な資格が必要です。
もちろん未経験であっても資格があれば採用してもらえる企業もありますし、採用後により難易度の高い資格を取得するよう自社で育成している企業もあります。
なお、初めてトラックドライバーとして勤める場合、勤務先の運送会社において、国が定める指針に基づいた12項目の特別教育が行われます。座学で15時間、実技で20時間と定められており、教育係となる先輩ドライバーや管理者からしっかり指導してもらえるので安心です。
資格取得には色々勉強することもあって大変ですが、一度取得すれば(一部更新のための研修等ありますが)生涯有効です。ここでは主なものを見ていきましょう。
2017年3月12日から、運転免許制度が変わり、「準中型免許」が新設されました。この準中型免許は高校3年次の18歳で取得できるので、宅配便やコンビニ等の集配車両をはじめ、ほとんどの小型トラックを運転することができます。準中型免許を取得すれば、プロドライバーとして即戦力で働くことができ、将来はキャリアアップして、中型・大型トラックドライバーになるという道も大きく開けます。
車両総重量 | 3.5トン未満 |
最大積載量 | 2.0トン未満 |
乗車定員 | 10人以下 |
受験資格 | 18歳以上 |
車両総重量 | 7.5トン未満 |
最大積載量 | 4.5トン未満 |
乗車定員 | 10人以下 |
受験資格 | 18歳以上 |
車両総重量 | 11.0トン未満 |
最大積載量 | 6.5トン未満 |
乗車定員 | 29人以下 |
受験資格 | 20歳以上免許期間2年以上 |
車両総重量 | 11.0トン以上 |
最大積載量 | 6.5トン以上 |
乗車定員 | 30人以上 |
受験資格 | 21歳以上免許期間2年以上 |
主に小口商品の配送などで使用されます。外見上、一般車両との違いはナンバープレートくらいです。
主に近距離の配送に使用され、宅配便やコンビニ配送などにも使用されています。私たちの日常生活に最も身近なトラックといえます。
中長距離を中心に幅広い用途で使用されています。
主に都市と都市の間を結ぶ幹線輸送など、長距離で大量に荷物を運ぶ用途に使用されています。
※1準中型免許新設の背景には、運送業の深刻なドライバー不足が関係しています。従来まで、中型自動車免許は20歳以上で普通自動車免許取得から2年以上経過していなければ取得できなかったため、高校卒業後、すぐにトラックの運転を仕事とする運送業に従事するための障壁(ハードル)となっていました。
そこで新設されたのが準中型免許です。18歳時点ですぐに積載量2トン以上(車両総重量が7.5トン未満)の中型トラックを運転できるようになり、運送業のドライバー不足が解消されるのではと期待されています。
横にスクロールします。
運転免許の受験資格の特例概要(令和2年6月10日公布/2年以内に施行) | ||
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免許種類 | 従来の要件 | 新たな特例 |
第一種中型 | 20歳以上で普通免許保有歴2年以上 | 19歳以上で普通免許保有歴1年以上 |
第一種大型・第二種 | 21歳以上で普通免許保有歴3年以上 |
また、上記表のとおり、道路交通法の一部を改正する法律案が令和2年6月2日に衆議院本会議で可決・成立し6月10日に公布され、運転免許の受験資格の特例に関する規定の整備が盛り込まれました。この改正により、普通自動車免許等の取得後1年が過ぎ「一定の教習を修了した場合」は、大型自動車免許および中型自動車免許の運転免許試験を受験可能となります。
これにより、例えば、18歳で普通自動車免許を取得し、一定の教習を修了すれば、19歳で大型免許・中型免許が取得可能となります。本規定については、警察庁が関係する政令整備を行った上で2年以内に施行される予定です。
トラック協会では、若年ドライバー不足等を背景に、警察庁に対して、大型免許等の受験資格の見直しに関する要望書を提出していました。その中で、大型第二種免許(旅客)の受験資格について、年齢要件や経験年数要件を引き下げる際には、大型免許および中型免許についても相応の引き下げ措置を講じてほしいと要望しており、今回の法改正によりそれらの要望が認められたこととなります。
普通・大型・大型特殊免許を所持しており、18歳以上なら取得できます。キャンピングトレーラや小型ボートのけん引といったレジャー用途で目にしたことがあるかもしれませんが、トラック運送業界では、主に、コンテナ輸送等のセミトレーラを使った大量輸送等に使われます。
『玉掛け』とは、工事現場などで見かけるクレーン車にワイヤーなどで荷物をつるして荷物を運ぶことを指します。クレーン車の荷物は大変重く、万が一ワイヤーが外れるようなミスが発生すると大事故になってしまいます。そのため、安全上の知識や操作方法を知っているという証がこの資格です。18歳以上から資格取得でき、労働安全衛生法に規定されている「玉掛け技能講習(荷重1トン以上の揚荷装置およびクレーン)」及び「玉掛け特別教育(荷重1トン未満の揚荷装置およびクレーン)」を修了した技能者を指します。
住友建機教習所愛知教習センターより転載
https://www.sumitomokenki.co.jp/license/nagoya/
つり上げ荷重5トン未満の小型移動式クレーンの運転作業に従事する場合、労働安全衛生法に基づく運転技能講習を修了しなければならないことが義務づけられています。小型移動式クレーンとは、いわゆる「ユニック車」と呼ばれる車両積載型トラッククレーン等が代表的で、トラックの荷台に常設クレーンがあり、それを利用して荷物の積み込みや積み下ろしを行うことができるため、重量物や建築資材の運搬に適しています。また、引越しの際に大型家電を吊り上げるなどでも目にすることがあります。
住友建機教習所愛知教習センターより転載
https://www.sumitomokenki.co.jp/license/nagoya/
労働安全衛生法により、荷重1トン以上のフォークリフトの運転については都道府県労働局長の許可を受けた登録教習機関で運転技能講習を修了し、「フォークリフト運転技能講習修了証」を受けた者でなければ、運転業務に従事してはいけないこととなっています。自社の倉庫や荷主さんの工場などで、フォークリフトを用いて荷役作業を行うためには必須の資格です。ちなみに一般道路を走る場合は、併せて大型特殊免許も必要になります。
住友建機教習所愛知教習センターより転載
https://www.sumitomokenki.co.jp/license/nagoya/
事業用のトラックは安全な運行のため、日常点検はもちろん、3か月毎に法定点検を実施しなければならず、車検も1年に1回受けなければなりません。事業用車両はマイカーと異なり、安全基準が厳しいだけでなく、商用であることから納期も厳しく、整備には高度な技能と経験を要します。 自動車の分解整備は道路運送車両法という法律に基づき、一定の受験資格を満たした上で、国土交通大臣の行う自動車整備士技能検定『学科試験(一級の場合は筆記及び口述試験)及び実技試験』を受け合格しなければなりません。
3級から1級まである自動車整備士の国家資格のなかでも、2級自動車整備士は最も取得者数が多く、自動車整備士の8割以上が2級自動車整備士の資格を持っています。
軽油で動くトラックはディーゼルエンジンが搭載されており、2級ディーゼル自動車整備士を保有していれば、(3級ではできない)足回りやエンジンの分解整備なども含め、ディーゼル車に関して一通りの整備が可能となります。
整備士になるには、まず3級を取得して実務経験とともにステップアップするのが一般的です。
トラック運送事業では、原則として一つの営業所ごとに5台以上の車を配置しなければなりません。その際、「整備管理者」という役職を設け、トラックの点検整備や車庫の管理に関する事項を処理させなければなりません。具体的には、日常点検などの車両点検の管理、車両整備の実施計画を立てる、点検整備記録簿等の記録簿の管理保管、車庫の適切な管理などが業務内容となります。
整備管理者になるには、2年以上の実務経験を積んで「整備管理者選任前研修」を修了するか、上記で挙げた1~3級の自動車整備士の資格を取得している必要があります。
トラック運送事業者は、利用者や社会の信頼にこたえるため、安全で確実な輸送を行う義務があります。このため貨物自動車運送事業法に基づき、安全な運行に必要なドライバーの勤務時間を設定したり、運行管理のための指揮命令系統を明確にしたりするため、営業所ごとに1名以上運行管理者を配置しなければなりません。
運行管理者の主な業務は、ドライバーの乗務割の作成、乗務記録の管理、休憩・睡眠施設の保守管理、ドライバーの指導監督、業務前後の点呼によるドライバーの疲労・健康状態等の把握や安全のための指導など多岐にわたっています。人や車両の動向を掌握して常に安全を確保する高度な判断力と、運転者にいつも適切な指示を行う優れた指導力とが求められます。
運行管理者になるには、1年以上の実務経験と共に、毎年3月と8月に行われる国家試験に合格しなければなりません。
一定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリー等の施設には、危険物を取り扱うために必ず危険物取扱者を置かなければいけません。ガソリンスタンドで勤務する人には馴染みの資格ですが、ガソリンや軽油を運搬するタンクローリーのドライバーになるには必須の資格です。
高圧ガス保安法に基づき、高圧ガスを輸送するのに欠かせないのが「高圧ガス移動監視者」の資格です。一定の体積・重量以上の高圧ガスを輸送する際に必要になります。高圧ガスは強い刺激で爆発したり毒性のあるガスが漏えいしたりする危険性があり、LPG等を運搬にあたるトラック運送業では必要な資格となります。