少子高齢化により、日本の労働人口は右肩下がりで、長期的な見通しでは、40年後の労働人口は現在よりも4割減少し、2020年の6,400万人から4,000万人にまで減少するとも言われています。
今後、あらゆる業界で人出不足が常態化することが想定されていますが、これまでトラック運送業界は肉体的に非常に厳しい業界だとのイメージが一部では存在しており、こうした印象が新たに業界に入ろうとする方々にとって心理的ハードルとなっていたのは事実です。
このような中、生産性を向上させ、ドライバーをはじめトラック運送事業に従事する人々の働きやすい職場環境を作ることは大きなテーマとなっており、今、業界を挙げてより良い職場作りや経営の「ホワイト化」に向けた様々な取り組みが行われています。
トラック運送業界は今「働き方改革」の真っただ中なんです!
労働者がそれぞれ自分にあった働き方を選択できる社会を実現するため、「働き方改革関連法」(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が平成30年が国会で成立し、平成31年4月より施行されています。
法律の施行前は、具体的な残業時間の上限はありませんでしたが、この法律は労働時間の上限を明確にしています。(※業種・業態によって異なります)
今までは働いている人が申請しなければ休みを取得できず、周りの環境などの理由で申請しづらい傾向にありましたが、この法律では従業員に10日以上の有給が与えられている場合は、会社側が年5日の有給休暇を与えなければなりません。
同じ業務内容であるにも関わらず、非正規雇用者が正社員よりも給料が低いことが問題となっていましたが、この法律では待遇の格差を解消するよう義務付けられ、もし差をつける場合はその内容や理由について説明する義務があります。
また、この法律が施行されたことにより、既存の法律が改正されることになります。主なものは下の表を見てもらいたいのですが、項目によって適用時期が異なります。
インターネット取引の発達によって取り扱う荷物の量は劇的に増えました。皆さんもよく利用している宅配便が代表的な例です。しかし、昔からのイメージで、トラック運送業界は他産業と比較すると労働時間が長く、何だか大変そうというイメージが依然存在し、この少子高齢化時代、人材確保に向けたハードルになっているのは事実です。
これまで、トラック運送業界で働いている人は40代〜50代の男性の割合が最も多く、女性の割合は少ないとされていましたが、ドライバーインタビューの動画コンテンツにもあるとおり、行政や業界を挙げた様々な取り組みや、各事業者における職場環境を改善するための事業活動が実を結び、今やトラック運送業の働き方は大きく変貌しています。
トラックドライバーの方々がいなければ我々の生活に必要な物資を運ぶこともままならず、くらしと経済を支えるライフラインを維持することができません。日本の将来を支えるべく、新しくトラック運送業界の門戸を叩く若い方々にとって、なお一層働きやすい労働環境を目指します。
データ引用:厚生労働省「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」
ドライバー不足が深刻化しているトラック運送業界では、将来の担い手確保のためにも、女性や高齢者といった多様な人材確保や育成をはじめとした働き方改革に取り組まなければなりません。「働き方改革関連法」に基づいて業界内の改革を推進するため、全日本トラック協会は「働き方改革アクションプラン」を策定しました。
働き方改革関連法が施行されたため、トラックドライバーも当然、労働時間の上限が明確になります。しかし、他産業と同じように一律で施行されるのは苦しいため、2024年まで猶予があります。その猶予内に年度ごとの達成目標を設定し、正式に適用される2024年には時間外労働の上限を超える事業者をなくすことを目標としています。
労働時間の上限が明確になるため、高速道路を有効活用したり、ITを活用して業務時間を減らしつつ、多くの荷物を運ぶことができるよう生産性を高めます。
給与体系の見直しや有給休暇の取得推進といったトラックドライバーの待遇改善や適正な運賃や料金の設定といった経営基盤の強化が挙げられます。
トラック運送業界は契約書内で取引内容を明確にしない傾向があったため、本来であればドライバーがすることではないと思われる業務も取引先から頼まれたら断ることが困難でした。それがトラックドライバーの長時間労働の原因の一つとなっていたため、契約内容を明確にして書面化することを推進したり、役所と協力をして悪質な荷主事業者の把握に努めます。
女性や高齢者も働きやすい職場をつくるための設備や制度を整えたり、従業員のスキル・キャリアアップが可能となる教育・人事制度の仕組みを作るよう努めます。また、若い人たちがこの業界に就職してもらうために賃金や休日の増やすなどにより魅力的な雇用条件を整えていきます。
国土交通省自動車局では、トラック運送業界における女性の活躍を促進するため、女性トラックドライバーを「トラガール」と名付け、様々な取組を進めております。
詳細は(公社)全日本トラック協会へ
確かに文字にするだけで実際何もしなくては意味がありません。でも安心してください。働き方改革の取り組み状況が誰でもわかる制度が既に整備されています。
トラックドライバー不足が深刻になっていることを受けて、私たちの生活に必要な物流を安定的に確保するため、
①トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化、
②女性や60代の運転者等も働きやすいより「ホワイト」な労働環境の実現を目的として、トラック運送事業者、荷主、そして一般の皆様が協力して取り組む運動です。
この運動に参加している企業名は目的を達成するための具体的な取り組み内容も含めて公表されています。
働き方改革に向けた各社の取り組みが誰でも見えるようになることで、業界全体の職場環境改善の取り組みを促し、働きやすい労働条件・労働環境を実現することを目的として2020年新たに創設された制度です。
この制度は労働環境改善の取り組み内容に応じてミシュランガイドのような格付けを設けているのが特徴です。星の数が多ければ多いほどより「働きやすい職場」だということが就職を考えている方やそのご家族も含めて社会にアピールすることができます。(最大三ツ星を予定)
一つ星の認定は令和3年5月から、二つ星以降は令和4年以降に認定予定ですので皆さんが目にするのはもう少し先かと思いますが、将来運送業界に就職しようと考えている方は会社選びの目安にすることができます。
皆さんに食料品や日用品などを届けるため、トラックドライバーは日夜、荷物を運んでいます。物流は我々の生活を維持するため必要なライフラインです。人々が生活するのに欠かせない職業を「エッセンシャルワーカー」と呼ばれていますが、トラック運送業界もその一つです。
宅配で配達人が訪問した際に不在の場合、荷物が渡せないので再配達となりますが、再配達は長時間労働の原因の一つです。時間指定等を利用してできる限り1回で受け取ってください。直接受け取ることが難しければ宅配ボックスの活用や、配送センターやコンビニでの受け取りも一つの手です。
輸送の効率化等の取り組みは進めているところですが、増えすぎた荷物による従業員の負担が大きくなってしまう場合はやむなくサービスを変更することもご理解ください。
皆さんは引越をするのに業者を利用することが多いと思いますが、早めの依頼や、繁忙期(例:3月~4月)は避けていただきますようお願いします。
また、繁忙期を避けた場合、代金を抑えることができたり、予約がしやすくなったりするメリットもあります。
トラックドライバーは安全運転の為に定期的に休憩を取ることが法律で決められています。ですが、トラックは普通乗用車のスペースに車を停めることができません。そこで、サービスエリアやパーキングエリア、道の駅やコンビニでの大型車駐車場スペースにマイカーを駐車しないようご協力ください。
皆さんの協力がライフラインの維持に繋がります。ご理解・協力を宜しくお願いします。
データ引用:厚生労働省「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」
データ引用:国土交通省「引越時期の分散に向けたお願い」